*藤紋解説*

藤紋は、藤の文様から化して紋章になったのであるが、その理由はおよそ二つある。一つは、美的鑑賞的

立場からで、古歌にも藤の花を歌ったものは極めて多い。源氏物語、紫式部日記、栄華物語などにも、鑑賞の

パーティーを開き、藤の花を詠んだことが出ている。

第二に、「藤」という字が藤原という苗字にことよせて用いた、という考え方である。

藤原氏の一部には家紋も藤のものもあるが、どちらかといえば、藤紋を用いてないものが多い。要するに

藤紋と藤原氏とは直接関係ない。

徳川時代には藤紋は急に増え、大名に九家、旗本に百六十二氏に及んだ。藤紋は藤の花と葉とのコンビであるが、普通と称する

丸がたが多い。しかし中には、花だけ(花藤紋)葉だけ(枝藤紋)のもある。