麻疹(はしか)のお話

【麻疹(はしか)】流行のおしらせ〉

【麻疹について】◆前駆期(カタル期):

        ◆発疹期:

        ◆回復期:

【ワクチンについて】

【予約のお願い】

 

【麻疹(はしか)流行のおしらせ】

麻疹の過去の流行は、1984 年に大きな全国流行があり、1991年にも流行がありましたがやや小さく、その後大きな全国流行はありませんでした。今年に入り、東京都を始めとして関東地方では大学生を中心とした麻疹患者報告が増加しています。また、5月には大阪府狭山市でも専門学校生に麻疹の集団発生が報告されています。

今年の麻疹では、成人の罹患者が多いのが特徴です。この原因としては、近年麻疹の発生が少なくなり、乳幼児期に麻疹の予防接種をしていても野生ウイルスに接触する機会が少ないため免疫細胞を刺激する事が減少したため麻疹に対する免疫が低下してしまっている「二次性ワクチン効果不全」と、10代後半年令層では幼少時にMMRワクチン接種の副反応などの影響で接種率が低かったことなどが考えられます。このため、ワクチン未接種で、かつ過去に麻疹に罹患したことがない学齢期の人は、早急に麻疹かMRワクチンを接種することをお勧めします。また接種歴の判明している患者のうち半数程度は過去に接種をしていること(二次性ワクチン効果不全)から、周辺での流行があれば十代後半の方は2回目の接種が勧められます。

1歳児と、小学校入学前年度の1年間(4/13/31)のお子様は定期接種として麻疹風疹混合(MR)ワクチン(あるいは麻疹単抗原ワクチン)の無料接種が可能です。その他の方は、任意接種(有料)としてMRワクチン、麻疹単抗原ワクチンのいずれも接種可能です。

 

 

【麻疹について】

インフルエンザと同様に@麻疹患者の咳や鼻汁中の麻疹ウイルスによるヒトからヒトへの空気感染(飛沫核感染)や、A飛沫感染、B接触感染など様々な感染経路で感染します。麻疹の感染性は非常に高く、感受性のある人(免疫抗体を持たない人)が暴露を受けると90%以上が感染します。麻疹ウイルスは熱、紫外線、酸(pH5)、アルカリ(pH10)、エーテル、クロロホルムによって速やかに不活化され、空気中や物体表面では生存時間は長くありません(2時間以下)。

 

麻疹の症状は、前駆期(カタル期)、発疹期、回復期に分けられます。

◆前駆期(カタル期):

麻疹ウイルス感染後1012日間の潜伏期を経て突然の高熱で発症します。38 ℃前後の発熱が24日間続き、咳・鼻汁・くしゃみなどのいわゆるかぜ症状に続き、結膜炎症状(結膜充血、眼脂、羞明)が現れ次第に増強します。

◆発疹期:

カタル期での発熱が1℃程度下降し治りかけた様に思えた後、半日くらいのうちに再び高熱(多くは39.5℃以上)が出るとともに(2峰性発熱)、発疹が耳後部、頚部、前額部より出現し、翌日には顔面、からだ、上腕におよび、2 日後には手足にまで広がります。発疹は次いで暗赤色となり、出現順序に従って退色してきます

回復期:

発疹出現後34日間続いた発熱も回復期に入ると解熱し、全身状態、活力が改善してきます。発疹は退色しますが、色素沈着がしばらく残ります。合併症のないかぎり全経過710 日間で回復します。

 

患者の気道からのウイルス分離は、前駆期(カタル期)の発熱時に始まり、第5 6 発疹日以後(発疹の色素沈着以後)は検出されません。この間が感染力をもつことになりますが、カタル期が最も感染力が強い時期です。

麻疹の合併症では、細菌の二次感染による中耳炎が最も多く、次いで肺炎がみられます。

1,000例に0.51例の割合で脳炎を合併することがあります。発疹出現後26日頃に発症することが多く、致死率は約15%です。

麻疹の診断 は、ウイルス分離、麻疹特異的IgM 抗体価の測定、急性期と回復期のペア血清での麻疹IgG 抗体でおこなわれますが、従来日本では臨床症状のみで診断することが多くありました。

麻疹の特異的治療法はなく、対症療法(症状を抑える、せき止め、鼻水止めや解熱剤など)が中心となりますが、中耳炎、肺炎など細菌性の合併症を起こした場合には抗菌薬の投与が必要となります。それ故に、ワクチンによる予防が最も重要です。

 

 

【ワクチンについて】

我が国における現行の予防接種法では、1歳児と、小学校入学前年度の1年間(4/13/31)のお子様は定期接種として麻疹風疹混合(MR)ワクチン(あるいは麻疹単抗原ワクチン)の無料接種が可能です。その他の方は、任意接種(有料)としてMRワクチン、麻疹単抗原ワクチンのいずれも接種可能です。以前に風疹に罹患していてもMRワクチンを任意(有料)で接種することは可能です。

ワクチンによる免疫獲得率は95%以上と報告されており、有効性は明らかですが、約5%は免疫が獲得されません(一次性ワクチン効果不全)。接種後の反応としては発熱が約2030%、発疹は約10%に認められます。いずれも軽症であり、ほとんどは自然に消失します。熱性けいれん既往者に対しては、発熱性疾患罹患時と同様の方法で抗けいれん剤(例:ジアゼパム坐剤)による予防が可能です。

しかし、ワクチンによる免疫の持続期間は10年程度と考えられています。そのため、前記の二次性ワクチン効果不全が起こるのです。初回ワクチン未接種者、一次および二次ワクチン効果不全の対策として、平成18年度途中からは小学校入学前年度の2回目の定期ワクチン接種(無料)が実施されています。

なお、麻疹に自然感染した場合はしっかりした免疫が獲得されるので(終生免疫)、その後のワクチン接種は不要です。

ワクチンアレルギーの原因となったゼラチンに関しては、ゼラチン・フリーや低アレルゲン性ゼラチンを採用するなどで改善されました。ごく稀に(100150 万接種に1例程度)脳炎を伴うことが報告されていますが、麻疹に罹患したときの脳炎の発症率に比べると遙かに低い数字です。

 

 

【予約のお願い】

平成19年5月現在、関東地方の麻疹流行の影響で、全国的に麻疹ワクチンが不足しています。定期・任意で麻疹ワクチン接種を希望される方は、必ず医療機関へ事前電話予約をしてくださいます様お願い申し上げます。

 

ページTOPへ↑