愛されたい女  彼女は愛されたかった。何者でもいい、彼女を愛するものを欲していた。  彼女はずっと独りだった。今まで男を避けていた。彼女は何故か人一倍感性が高かった。 所謂高飛車だった。  彼女は独り自分を慰め、自分の偶像を追い求めた。彼女は自分しか愛せなかった。  いつしか彼女は自分の心の中に男性像を置くようになった。彼は彼女の思うがままの姿、 形をし、彼女の思いのままに動いた。彼女は彼を愛した。そして、心の中で男を知った。 玩具で慰めるのとは違った暖かさを知った。  それ以来彼女は、自分の心の奥を愛してくれる存在を求めるのだった。 ある目、彼女はある男から声を掛けられた。彼女は何故か迷わずその男についていった。 二人は普通に恋愛し、普通なペアに見えた。 しかし、彼女のマゾ的な欲望が強かった。男もサド的な面もあったが、 目々エスカレー トする彼女について行けなくなった。付き合いだして半年、男は彼女の元を去った。 そして、再ぴ自分を慰め出すようになった。彼女は愛される者を失った。 それ以来、悲しみをも快感として得るようになった。 93