独立版「ループレヒトの人形」 創作「エストリア」 リベリオン 劇中劇 戯曲「ループレヒトの人形」より 原典  リベリオンの世界にて、アルトゥル統治時代の後期、ゲオルク・ディーゼルの独裁性が強まる中、大衆演劇の演目に登場した、ディーゼル政下のアルトゥルを揶揄した演目。  作者は不明という設定。後に、シダン・カモフが編纂し書籍化したことで広く知れ渡る。 原典のあらすじ  かつて、エストリアという国に偉大なる王があり、広大な国家を一代で築き上げ統治した。国の求心でもあった指導者、ループレヒト。  しかし彼は行幸先にて暗殺未遂事件に遭遇し、そのときの傷が深手で、生死の境を彷徨う。  民衆の動揺、統治下にあった旧領主達の不穏な動き、それらがエストリアの将来に暗い影を落とした。  臣下達が今後の統治について日夜紛糾して会議を開いていた。  そこで、ある妖術師が呼ばれた。ループレヒトの魂を彼に似せて作った傀儡に移し替えようというのだ。  一見、魂は新たな傀儡に移ったかのように思えた。  ループレヒトの亡骸は盛大に葬られた。  それから、十年と時は流れ、他国の侵略をも打ち払い平和な時代が続いていた。  それもこれも、偉大なるループレヒトの魂が宿った傀儡が全ての頂として、その才を振るっていた為だとだれもが信じていた。  しかし、ある庶民が、妖術師と被領主が共謀し自らの領地に理財を横流ししていることを知る。  彼は領事に訴えるが、誰もそれを取り合わない。誰もループレヒトがそんなことをするとは信じなかったからだ。  そうこうするうちに彼は投獄されてしまう。しかしこの真実を伝えることに使命を覚え、脱獄を図る。  彼はその後民衆を組織し、その被領主の糾弾を訴える活動を起こす。  それに対し被領主は軍隊を動かしこれを鎮圧しようとし、多くの民衆が虐殺された。  傀儡のループレヒトは共謀した妖術師の管理下にあったが、被領主の行いを理解し「ループレヒト」としての決断を下す。  傀儡ループレヒトは被領主の居城に自ら赴き、その寝首を落とす。  翌朝、民衆の前で傀儡ループレヒトはその首を民の前に晒し、自らの無策を贖罪する。  「民よ許したもう。しかし民よ、私に栄光にすがらず、自ら道を切りすすめ。」  そう宣。彼の魂を移した妖術師をその場で斬首し、自らの呪縛を解き魂を解き放った。 ※元ネタ  多くの人が気づいているでしょうが、フリッツ・ラングの「メトロポリス」をベースにしています。 ※創作「エストリア」  この話を未来SF(すこしふざけたの略)として転用したものです。 ※エストリアとは  ライヒャルト一世が生まれたといわれる伝説化された地域。(ライヒャルト・エストのエスト)  この時代、理想郷<エデンのようなところ>として描かれる。  ライヒャルト王は「エストより八方を治める者」という字(あざな)を持つ。  エストは姓ではない。 ライヒャルトが自伝で創作した地名と言われる。 以下、創作「エストリア」のあらすじ  100年の平安を生むというエストリアという王国があった。  度重なる他国の侵略も跳ね除け、大きな災害も、飢える者も少なかった。  ループレヒト王の治世はすでに100年に及ぶ。  王は人ではない。かつて前世でコンピュータと呼ばれたものだ。  実体は無く、臣下達は王が出す啓示を民に発布する。  民からの多くの陳情にも、こと細かくその才を振るい、民もそのことになんら疑問を感じていなかった。    今から100年前、世界はカオスの中にあった。  その中で、ある偉大な指導者が現れた。ループレヒト・ゼーヴェリング  彼はその混沌とした世界を次々と統治し、エストリアを築き上げていった。  だが、彼は遊説先で凶弾に襲われる。傷は致命傷となり、彼の命もあと幾許というとき、彼の臣下達が、彼の頭脳を電脳に移植しようと試みた。  当時の技術を全て持ち寄りループレヒト・ゼーヴェリングは、コンピュータとして無限の命を与えられた。  ループレヒトの肉体の死、しかし、彼の頭脳とその臣下達の活躍で、国はより強く成長し、今の平安な強大な王国を樹立することに成功した。  以後、幾度と無く他国からの侵略に晒されたがそのたびに、ループレヒトと民はその困難を打ち払ってきた。    その安定した王国での日常・・・それが創作「エストリア」の基底にある。    で、いきなり、締め。  あるコンピュータを専攻していた青年、フランツが偶然ループレヒトとのダイレクトコンタクトしてしまった。  フランツは、それがループレヒトとは知らなかったが、ループレヒトの古い記憶を共有する。  その中で、ループレヒトが生身から電脳に移ったときの隠された真実を知る。      APからネットにつながるフランツ  「あれ?ネットにつながってないのかな?何時もと・・・」  「誰だ?」  「えぇ?」フランツはピアピアで誰かとダイレクトコネクトされたことに気付いた。  繋がった相手からの不機嫌な返事だ。  「お前は誰だ?どうやって私にリンクしたんだ?」  「俺はフランツ。何故だか知らないが、何時もどおり接続したら、あんたに繋がったみたいだ。ところで、あんたは?」  「私は、ゼーヴェリング。私にダイレクトコネクトした人間は久しぶりだ。」  「どうやって繋いだ?」  フランツははたと思い出す。  「直前まで、恋人の名前をキーに入れたんだ。それかな。」  「ほう?」「テレジア・ルーデンドルフ」  「え?なんで知ってるんだ?おっさん?」  相手の対応の仕方から、大分歳の行った人物だと思ったので、おっさんという言葉が出た。  「おっさんか?ふふっ。その名前が私へのダイレクトのパスフレーズだからだ。」  「同姓の人がいたのだよ。私の愛した恋人とな。」  「うえっ。なんかおっさんと意気会うのって気色わりーな」  「そのまえに、私へダイレクトするということは、3種のセキュアエリア内に、お前が居るということになるな。お前の言動からは、とても3種のエリアに従事するものとは思えん・・・・」  「フランツ・ドルーデ。ほう?学生か。しかも、防壁を抜いてきているのか?」  「あはぁ。バレちゃいました?じゃ、」  一方的に回線を切った。  ・・・なんかまずいことになったかな?  お役所にバレると・・・    翌日、大学の事務より連絡が入った。  「フランツ君。何をやったんだ?」  「あちゃ〜」手をあてがっていた。ヤバイな  「昨日、政務府から連絡があってね、君を召喚したいと言ってきている。」  「すみません!!」  「何をやらかしたか知らんが、事と次第によっては・・・」  言い切る前に通信を切った。       原作:2005年頃 編集:2007/02/18